【化粧品香港進出】化粧品の輸出は「香港」から。ハブとなる理由とその背景とは

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ビジネスや観光など、あらゆる側面から話題を集める香港。金融のイメージを持たれている方も多いと思いますが、実は美容に関しても先進国であり化粧品海外進出としてターゲットになる国です。香港の面積は36,000㎢で、札幌市とほぼ同じ大きさ。しかしながら人口密度はアジアの中でもトップクラスに高く、常に賑わっているイメージがあります。日本から香港までの飛行時間は、平均4~5時間。時差は-1時間ということもあり、最も行きやすいアジア諸国のひとつとしても挙げられます。

香港の人口・経済について

香港の人口はおよそ723.4万人。そのうち93.6%が華人(移住先の国籍を取得した中国系住民)です。経済状況は2015年時点で実質GDPが289.5億ドル。香港が中国大陸に返還された1997年時点の実質GDP より1.8倍増加しています。一人当たり実質 GDP は 39,601 ドルほどです。香港の小売業売上総額は 419 億ドルで、GDP の 18.6%を占めています。ビザの緩和や直行便の増加などにより、中国本土からの観光客も増加。その結果、小売業にも影響を与えています。「香港に進出したい」という外資系企業も増えていますが、その理由には、“金融大国であり、経済の自由度が高い”という特性が挙げられます。特に低率の税制(法人税 16.5%、個人所得 税最高税率 15%、キャピタルゲイン・利子非課税)は、香港を拠点として海外進出を行いたい企業には魅力的でしょう。

香港の化粧品店頭流通について

国別輸出比較表を見ると、香港と中国が多く輸出しやすい国として知られています。医薬品成分を含まない一般化粧品については、香港では一般消費品に分類され、香港法令 456 章「消費品安全条例の第 4 条「一般 安全規定(General Safety Requirement: GSR)」が定める合理的な安全基準に適合してい れば、輸入許可・販売許可等の取得は不要で他国と比べると手続きの手間がありません。
香港のフリーポートであり、輸出入における関税はかかりません。通関では、「輸出入条例」(Cap.60 The Import and Export Ordinance)の第4条と5条の規定により、輸出入した日から14日以内に税関申告を行うよう定められています。化粧品の売り場は1,000店舗を超える香港市場は、アジアの中でも最も競争が激しい市場だと言われています。香港がハブとなり、そこから別の地域に商品を再輸出するケースも少なくありません。そのため、香港には各地の商品が集まってきます。特に、隣接地のASEAN 諸国はからの商品が香港市場に大量に投入される傾向にあります。そんな香港の化粧品進出についてレポートします。

化粧品の香港進出における主要ドラッグストアについて

ワトソンズ(中国語名:屈臣氏、英語名:Watson’s)
香港で最も店舗数が多いドラッグストアは『ワトソンズ』です。1841年に香港薬房を開店してから、現在では全世界に12,000店舗をオープンさせています。内訳としては、香港に216店、中国本土には2,000店を開店しており、約45%は化粧品、そのほかには医薬品や雑貨など、取扱店舗は8,000品目を超えています。

マンニング(中国語名:萬寧 、英語名:mannings)
『マンニング』はワトソンズの商品戦略を追随している、香港ではワトソンズの最大のライバル。店舗数を見ると、香港で『マンニング』はワトソンズを超えていますが、中国本土に進出するのが遅れたことで、現在中国本土には217店舗しかありません。また、後発であるためにワトソンズより知名度が低いため、集客のためのキャンペーンなどを随時行っています。

ササ(中国語名:莎莎、英語名:Sasa)
香港の化粧品ショップといえば、『Sasa』を思い出す方も少なくないでしょう。というのも、化粧品専門店としてのイメージが強いため。化粧品、香水、美容小物、そのほかにも雑貨やパーソナルケアなどを中心に取り扱っています。また、高級化粧品の割合が高く、取扱商品は中~高価格帯です。化粧品メーカーと提携することで、価格優位性を保っています。

ボンジュール(中国語名:卓悦、英語名:BONJOUR)
『ボンジュール』は 、1990 年代以降に展開を始めたたチェーン企業です。香港では40 店舗を開店する一方、中国本土への展開は広州と深圳のみ。化粧品を中心に取り扱っており、幅広い客層のニーズに対応するよう品揃えを充実させています。独立店舗では漢方薬、健康食品をメインに、一部化粧品を中心に取り扱っています。

バラエティーではイオングループの展開するR.O.Uや、LOG-ONなどが展開されています。

香港の化粧品EC流通について

2016年度の香港のECを通じた小売販売額は137億香港ドル(約1,986億円)で、過去5年間では年平均約15%の増加を遂げています。ただ、2015年の香港の小売額全体に占めるECの割合は3.1%で、中国の13.8%を大きく下回っています。

香港のECサイトでは、「香港電視網絡(香港テレビジョン・ネットワーク=HKTV)」が2015年に設置した「HKTV MALL」がメインプレーヤーです。「HKTV MALL」は香港居住者向けのECサイトで、登録会員数は450万人を超えています。サイト上での購買年齢層は、25~44歳が6割以上を占有しています。また、「HKTV MALL」で取り扱っている商品アイテム数は15万点超にのぼり(2017年時点)、香港、日本、韓国などのアジア圏が約1,000社、出店登録や卸取引を行っています。

購入されるカテゴリとしては、スーパーマーケットでの取扱商品(食品、掃除用品、シャンプーなど)が全体の約8割を占めています。他、ファッションや美容関連商品、家具・電気製品がそれぞれ約1割を占有しています。香港でECで販売されている商品の上位は、アパレル・アクセサリー (41.7%)、スーパーマーケット取扱商品(37.5%)、航空券(36.7%)、旅行商品(36.2%)、ホテル(36.0%)、家庭電器・電子製品(30.2%)、オンラインゲーム(29.3%)の順です。※マスターカードの調査:2017年

HKTVはオンラインショップとの相乗効果を狙う施策として、実店舗を香港島内に設置しています。ショールームとしての展示のほか、店員がタブレットを用いて顧客に接客を行い、その過程でオンラインショップでの商品購入方法・アプリの使い方などをレクチャー。お勧め商品のキーワードを、HKTV MALLのトップページおよびメルマガに掲載したり、購入金額に応じてポイントが貯まるシステムも導入しています。

「買い物天国」と言われる香港では、WEB上よりも実店舗で買い物をする傾向にあり、ネットショッピングの市場に期待されていませんでした。しかし、「HKTV MALL」が誕生したことで、香港の越境ECが開拓されつつあります。日本企業では、楽天市場の海外販売サービス「Rakuten Global Market」への出店例も挙げられます。

海外担当者必見、アジア最大の美容展示会「コスモプロフ香港」


毎年香港で開催される、美の見本市があります。それが、世界の美のトレンドが集うアジア最大級のビューティー・トレードショー「コスモプロフ・アジア」。イタリアのボローニャ、アメリカのラスベガスと並んで、3大美容見本市と言われています。出展アイテムは、主に化粧品、香水、ハーブ関連製品、ヘア関連用品、スパ関連用品・設備、ヘルス関連用品等、美容全般です。1996年の初開催以来、出展数は増加し続け、2017年は世界54か国および地域から過去最高の2,877社が出展しています。来場者は8万4千人近くに上り、展示スペースは10万8,600㎡に達しました。2017年度は日本からも約100社が参加しました。日本の化粧品は「J-beauty」との呼ばれており、人気を博しています。特に海外進出を考えている企業担当者は必見の見本市と言われている、コスモプロフ・アジア。是非検討されてみてはいかがでしょうか?

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