親日国としても知られるマレーシア。近年では、財団法人ロングステイ財団の調査において、12年連続(2006~2017年)で日本人が住みたい国「世界No.1」に選ばれ、その人気の高さがうかがえます。
そんなマレーシアは、面積は日本の約0.9倍の33万㎢、人口は約3,200万人(2017年マレーシア統計局)でマレー系・中華系・インド系を主とした多民国国家です。人口サイズは大きくないためマーケットとしては目立たないものの、実は人口ピラミッドが未だにきれいな三角形を形作っていることや出生率が高いことから、密かに期待が寄せられています。GDPは3,150 億ドル、平均月収15万円 。平均年齢は27.4才で働き盛りの若年層が多くを占めています。スマートフォンの使用率は70%と意外にも高いことも特徴です。
赤道近くに位置し熱帯気候に属しているため、常夏の気候であり、一年を通じてTシャツ、短パン、サンダルといった服装で過ごすことができます。年間の日中平均気温は30度前後ですが、35度を超える日は比較的少なく、朝夕は 25 度前後と過ごしやすい気候です。紫外線が日本より強いということもあり、美白ケアを中心としたスキンケア商品の需要が高い傾向にあります。
マレーシアドラッグストアの現状
マレーシアの代表的なドラッグストアは「Watson(ワトソンズ)」と「Guardian(ガーディアン)」です。マレーシアには、西洋系の薬局(ドラッグストア、ファーマシーなど)と 中華系(漢方)の薬局と2タイプがあります。化粧品を購入する際には、やはり前者の西洋系薬局が対象となります。
ここで、マレーシアで化粧品が販売されている店舗をご紹介しましょう。
・Watsons
https://www.watsons.com.my/
マレーシアに400以上の店舗を持っています。また、ワトソンズは独自のTouch ‘n Go会員証システムを導入しており、メンバーのためのバウチャーとポイントコレクションシステムを提供しています。日本でも多く見られるポイントカードシステムですが、ドラッグストア業界では特に顧客の獲得に役立っているようです。
・Guardian Health
https://www.myguardian.com.my/
ガーディアンはマレーシアのドラッグストア業界の中でも歴史が長く、消費者に広く認知されています。全国に400以上の店舗があり、国のどの州にも間違いなくGuardianストアがあります。マレーシア薬局理事会に登録されている90人以上の認可薬剤師を持ち、薬局で健康補助食品や市販薬について専門的アドバイスをすることで、地域社会に貢献しています。
・Caring Pharmacy
http://www.caring2u.com/index.php
Caring Pharmacyは、1994年に薬剤師のグループによって設立されました。彼らは「毎日フルタイムの薬剤師サービス」、「モダンでオープンなコンセプトストア」、そして「顧客との最大限の対話を提供します」といった3つの概念を掲げています。このコンセプトにより成功を収め、今や100以上の店舗を展開、急成長を遂げました。
・SaSa
http://www.sasa.com.my/
SaSaは香港に本社を置くコスメ専門店です。イメージとしては、日本のPLAZAに近いラインナップです。PLAZAには日本メーカーの化粧品が多いのに対し、SaSaは日本含め世界各国のコスメが揃っています。
・Sephora
https://www.sephora.my/
SaSaをより洗練させ、より規模を拡大させたイメージです。ファッションブランドのようなロゴや店構えでスタイリッシュ。日本でもよく見かける、レブロンやメイベリンなどのコスメのほか、韓国のコスメも多く揃っています。
・AEON Wellness
https://www.honestbee.my/en/groceries/stores/aeon-wellness
マレーシアのマツモトキヨシと例えられるような、雑貨系コスメも多く取り揃えています。イオン系列であり、日本の商品も一番揃っているようです。
マレーシアのネット通販事情
マレーシアの EC 市場成長率は23.7%に達し、今後も大きな成長が見込まれています。数字だけ見るとEC市場は既に発展しつつあるようにも見えますが、実際にはEC化されている率はまだ低く、小売市場の2〜3%となっています。商品の約80%は実店舗での買い物が占めています。
EC 市場での取引額は少額ですが、2016 年 11 月に 「11street」がマレーシア国内の 3,507 人を対象に実施したアンケート調査よると、オンラインショッピング経験者は 83%、1年以内に再利用するとした回答も85%という結果となりました。近年は少額な買い物を中心にEC利用が進んでいる模様で、今後さらに進展する可能性を秘めていると推測できます。
ここで、マレーシアで人気のECサイトベスト3を紹介しましょう。
(1)Lazada Malaysia
https://www.lazada.com.ph/
ASEAN6ヶ国へ展開するオンラインマーケットプレイス。Amazon の存在しない東南アジアにおいて東南アジア主要6カ国で事業を展開し「東南アジアの Amazon」と呼ばれています。また、現地倉庫からの発送や短納期など Amazon のビジネスモデルを踏襲し急成長を続けています。2016 年にはアリババ社が経営権を取得し、日本国内でも話題となりました。
(2)11street Malaysia
https://www.11street.my/
11street は、マレーシアの大手通信会社セルコム・アクシアタと韓国の最大手携帯電話会社SKテレコムが 2014 年に設立した、合弁会社セルコム・プラネットが運営する比較的新しいマーケットプレイスです。
(3)Lelong.my
https://www.lelong.com.my/
店舗向けにオンライン店舗構築・ショッピングカート・商品検索時リスティングサービ ス・バナー広告などのマーケティングサービス、決済サービスなどのプラットフォームサ ービスをワンストップで提供しています。7,000 社以上のメーカーやブランドが出店しており、 日常品からファッション、電化製品など取り扱いは多岐に渡ります。200 万人以上の会員を擁し、毎月 800 万人のビジターと約5億円(RM2,000万)の月間流通総額を誇ります。
マレーシアでの商品展開
マレーシアはドラッグストア等の店頭販売、EC共に、まだまだ開拓の余地がある市場として注目を集めています。また、多民族国家であるために人種や宗教観、価値観の異なる人々に対応する商品ラインナップが求められる状況でもあり、様々な可能性を秘めていると言えそうです。現に、マレー系やムスリム女性に対応するハラルコスメ市場も成長しつつあります。日本はハラルコスメへの参入が遅れていると言われていますが、イスラム教では1日5回の礼拝時に手や足の他、洗顔を行うため、日本が得意とするオールインワンタイプの洗顔・スキンケア商品にも勝機があると考えられています。
日本人移住者の増加や店頭ラインナップの特長からも、比較的日本と近い感覚値で展開できる点も魅力です。
マレーシアへの化粧品進出をお考えの際は、是非ご相談ください。