AI先進国アメリカに見る生活の中での活用事例
・Amazon(アマゾン)が運営するコンビニ「Amazon Go」の驚くべきAI技術
◎「Amazon Go」で活用されているAI技術とは
◎「Amazon Go」には店員が多い?
AIでの最先端を目指す中国での活用事例は
・「顔認証」技術で世界の先端をいく「センスタイム」の驚くべきAI技術
・「百度(Baidu)」が力を入れるディープラーニング(深層学習)とは
AIは私たちの生活の中でどのように活用されていくか
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人工知能(AI)分野の研究は全世界において急激に進められており、私たちの暮らしの中にもAIを活用したものを見かけない日はなくなりました。AIの持つ経済効果に着目して、あらゆる産業において変革が進められている様子が手に取るように分かります。特に現在実用化されているAIにおいて「認識」「合成」技術の向上は目覚ましく、AIが人間の立場を逆転する「シンギュラリティ」の兆候が見えていると言えないでしょうか。私たちが普段手にしているスマートフォンでは「認識」「合成」技術が積極的に活用されていて、生活のあらゆるシーンで恩恵を受けています。ここでは特にAI先進国であるアメリカ、また猛進している中国において、AIが生活の中でどのように活用されているのかご紹介していきましょう。
AI先進国アメリカに見る生活の中での活用事例
アメリカはAIでの研究論文が中国に次いで世界第二位で、人材も豊富であることが特徴です。さまざまな産業でAIが活かされているのですが、その中でもアマゾンが取り組むコンビニエンスストアをご紹介します。
・Amazon(アマゾン)が運営するコンビニ「Amazon Go」の驚くべきAI技術
アマゾンといえば私たちもネット通販においてお馴染となりました。雑誌や書籍だけではなく、雑貨や電化製品、食品などあらゆるものが販売されていますから、利用している人も多いでしょう。アマゾンにおいて力を入れているのがコンビニエンスストア「Amazon Go」の出店です。まだ日本では出店されていませんのでご存知のない方も多いかもしれませんが、アマゾンでは3000店舗の展開を目指している分野なのです。
◎「Amazon Go」で活用されているAI技術とは
「Amazon Go」に入店する際には、スマートフォンのQRコードをかざすとゲートが開く仕組みになっています。これは事前に専用アプリをダウンロードしておくのですが、アマゾンのアカウントを持っている人であれば、そこに登録されているクレジットカードから決済できるようになっています。驚くべき技術は入店してからで、購入したい商品はレジに通すなどの手間は必要ではなく、手にとって店から出ていくだけで決済できる仕組みになっていることです。「ジャスト・ウォーク・アウト(Just Walk Out)」と呼ばれるAI技術を導入されており、店内に備え付けられているセンサーやカメラによって認識できるようになっているのです。この認識の精度はかなり高いことが話題になっており、「本当に何も手続きをせずに、商品を外に持ち出していいのか?」と戸惑う人が多くおられるという、笑い話のような現象も見られています。
◎「Amazon Go」には店員が多い?
この「Amazon Go」は無人コンビニのように感じるかもしれませんがそうではありません。実は店員の配置が多いのが特徴となっています。先ほどからお伝えしている通り、レジ業務についてはすべてAIが行う仕組みになっており、売れた商品についてはすべてデータ管理され、必要に応じて自動発注されるようになっています。AIが最も得意としている「ビックデータの解析」「販売履歴からの販売予測」などは、人の行う仕事ではないのです。本来、人にしかできない「お客様とのコミュニケーション」「サービスの質向上」に力を注ぐことができますので、さらに口コミでお客様が増えていきます。この技術は今後、さまざまな分野において活用されていくことになるでしょう。
AIでの最先端を目指す中国での活用事例は
AIの研究論文を世界で最も排出している国は中国であることが分かっています。その背景には国家主導のもとにAI開発に取り組んでいる事実があり、2030年にはAI分野で世界一を目指しているのです。AIでの最先端を目指す中国での活用事例をお伝えしましょう。
・「顔認証」技術で世界の先端をいく「センスタイム」の驚くべきAI技術
中国政府から顔認証技術の開発推進を依頼されている企業に「センスタイム(Sensetime)」があります。このセンスタイムの顔認証技術においては、人の目視による認識率97%を超え、2014年には99.15%を記録しています。中国のAI技術の中でも特に認証技術においては、驚くべき成長を感じずにはいられません。これは国家がAI技術の開発に取り組んでおり、認証技術に必要なビッグデータの収集が他国よりも容易に、また低コストでできるからであると言われます。中国ではキャッシュレス技術が進んでいますが、ここにもセンスタイムの顔認証技術が活かされています。先ほどアメリカのAI活用事例においてAmazonGoをご紹介しましたが、中国においても無人コンビニが登場しています。初回の入店時にはスマートフォンアプリにおいてユーザー登録を行い、QRコードにて入店しなければなりませんが、2度目からはスマホを開けなくても入店できるようになっています。つまりここで顔認証技術が導入されているのです。これは「smile to pay」と呼ばれている技術で、顔認証で入店できるだけでなく決済まで完了することができます。
・「百度(Baidu)」が力を入れるディープラーニング(深層学習)とは
中国においてもスマートフォンが普及していますが、日本のようにインターネット検索においてGoogleを使うことはできません。中国ではインターネット検索において世界第二位である「百度(Baidu)」が活用されることが多いです。この百度でもAI開発に余念がなく、ディープ・ラーニングの分野においてはアメリカのシリコンバレーに研究所を構えるなど、積極的に研究が行われています。ディープ・ラーニングとは人間で言えば「脳」に当たるもので、私たちに馴染みのあるものとしたらiPhoneの「Siri」を思い浮かべるのではないでしょうか。Googleにも同様の音声認識システムをアンドロイドスマートフォンにおいて導入しているのもご存知の方は多いでしょう。百度においてもこの音声認識システムだけではなく、画像を識別する技術も開発しています。例えばスマートフォンのカメラ機能にこの技術が活かされていて、商品を写真に収めると商品を認識し、広告が起動する仕組みになっています。つまり質の高い広告を中国人ユーザーに向けて発信できるようになっているということです。
AIは私たちの生活の中で今後どのように活用されていくか
私たちの生活はスマートフォンの普及によって、特に購買行動が激変したと言われます。多くの人は実店舗に行って商品の購入を決めるのではなく、インターネット検索において十分に商品の情報を得たうえで店舗に向かいますから、店舗では商品を選ぶのではなく購入するためだけに訪れるのです。このような購買行動に対応するためには、オムニチャネル・マーケティングが必要となります。オムニチャネルとはインターネットや実店舗などあらゆるチャネルを連携させ購買に結び付ける方法のことをいいますが、そのマーケティングには当然ながら円滑な物流システムや顧客データの活用が必要となります。そのビッグデータの解析には、AIを活用することが今後重要なテーマになるでしょう。今回ご紹介した、Amazonやセンスタイム、百度の取り組みは、まさにオムニチャネル・マーケティングの最たる例ではないでしょうか。今後もますます目が離せない存在になっていくのは間違いありません。
【参考】
日本経済新聞社 アマゾン・ゴー 無人の可能性は無限大
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO34388550R20C18A8H46A00/
センスタイム(Sensetime)公式ページ
https://www.sensetime.jp/facial
「中国の検索大手、百度が人工知能技術「ディープ・ラーニング」の研究所をシリコンバレーで開設した。」WIRED
https://wired.jp/2013/04/16/baidu-research-lab/
「中国検索エンジンの百度、画像認識AIを使ったスマホ向けAR広告追加」週間アスキー