知っておくべき「化粧品の海外取引における手順や条件」

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今、大手化粧品会社のみならず、中小企業に至っても海外展開に挑戦する企業が増えています。日本は少子高齢化が進む一方で、国内だけの販路では勝負できなくなっているという事情が一般的に広がっていますが、実際に海外に目を向けることによるメリットが数多く存在するのです。早速そのメリットから、海外取引の始め方、リスクまで、細かく説明していきます。

なぜ海外取引を始めるべきなのか

海外取引を行うことで、メイドインジャパンの優れた商品を海外で展開することができます。国外で販売先を広げることにより、日本の何倍もの市場を獲得することができる可能性があります。また、日本に無い海外の商品を日本で展開することで、新たなビジネスチャンスが生まれるケースも少なくありません。少子高齢化が進み、化粧品の購入者層も狭まっている昨今。しかし、日本での市場に頭打ち感を感じていた企業でも、一歩海外に進出すれば成功する可能性は未知数に存在するのです。

海外取引と国内取引の違い

海外取引=貿易取引とは、国境を越えて商品の売買取引を行うこと。しかし、国内取引と違い複雑な点も多くあります。 貿易取引は、モノ・カネ・カミ(書類)の3要素により構成されていると考えれば、スムーズかもしれません。例えば国内取引であれば、売買が成立したと同時に商品の受け渡し、代金の決済が行われます。一方で海外取引の場合、売主と買主は異なる国に分かれているため、売買契約が成立した後、売主の商品の引渡しや、買主の代金の支払いが行われます。つまり、売買契約の成立とともに取引が完了するわけでなく、契約後に売主は輸出商品の製造、船積みの手配などの義務を果たし、飼い主は代金の支払いなどの義務を果たして取引完了となります。

海外取引のリスク

海外取引において、多くの方が気にされているのは、リスクの点でしょう。海外取引を行うリスクとしては、下記のような点が考えられます。

1.言語の違い等により、売主と買主の互いの情報が少なく正確な取引が成立しない可能性がある。

2.商品の輸送距離が長く時間がかかるため、不慮の事故などで商品が破損することや、遅延などの可能性がある。

3.通貨が異なるため、代金決済が複雑となる。

海外取引は、契約成立後に商品の引渡しや代金の決済が行われます。取引条件などの契約内容は慎重に明確に結び、契約後は契約内容に従って、お互いが速やかに誠実に義務を果たされるかが大きなポイントです。

取引条件の決定の仕方

いざ取引をしよう、となったときにも、貿易取引においては長距離の運搬に伴う物理的なリスクも生じるため、事前に取引条件を決める必要があります。輸出者と輸入者の間で、危険と費用をどちらが負担するか?という責任範囲を明確にするために、インコタームズに基づき取引条件を決定していきます。危険負担とは、売主と買主どちらにも責任がない状態で荷物が紛失・破損した時に、どちらがその損害に対して負担するのか?を、予め決めておくことを指します。費用負担とは、4つの費用「輸出通関・輸入通関費用」「船積み費用・荷下ろし費用」「運送費」「保険費用」をどちらが負担するのか?ということです。実際に11種類あるインコタームズの取引条件の中で、最も多く使用されているのが以下に詳しく説明する「FOB(本船渡し)」「CFR(運賃込み)」「CIF(保険料・運賃込)」の3種です。

・FOB(本船渡)とは

荷物が輸出港の船に船積みされるまでの危険負担と費用負担は売主で船積みされてから輸入先に到着するまでの危険負担と費用負担が買主となる条件。

・CFR(運賃込)とは

荷物が輸出港の船に船積みされ、輸入港に到着するまでの運賃を売主が負担し、保険料は買主が負担する。危険負担はFOBと同じく輸出港の船に船積みされるまでが売主、船積みされてから輸入港に到着するまでが買主となる条件。

・CIF(保険料・運賃込)とは

荷物が輸出港の船に船積みされ、輸入港に到着するまでの運賃と保険料を売主が負担する。危険負担はFOBと同じく輸出港の船に船積みされるまでが売主、船積みされてから輸入港に到着するまでが買主となる条件。

さらにこの3種の中で、より多く使われる取引条件がFOBです。理由としては、輸出者は運賃費用を商品の単価に含まなくて済むので、荷物を安い価格で提示することができ、価格競争力を上げることができます。また、輸出者が運賃・保険料が負担すると、過剰な手数料を上乗せされる可能性があり、商品本来の価格に近い金額で仕入れられることもあるため、フェアな取引ができるメリットもあります。

・通関とは

申告された荷物と、実際に輸入された荷物に相違や不備が無いか確認する作業のこと。前提として、輸出入の許可を得て税関を通過する必要があります。

・フォワーダーとは

海外で商品を販売したい企業と現地の販売会社を仲介する事業者です。

日本のメーカーと海外の販売会社の間に立ち、国際輸送に関する手続きを代行してくれる業者です。自らは運送手段を持っていないのが特徴です。

輸出の流れ

輸出の流れとしては、一般的に主に9つの段階を経て行われます。これは取引条件によっても異なりますので、あくまで目安としてお考えください。

1.輸入者が決定し、契約内容(金額、取引条件など)に違いが合意し契約締結

2.輸入者の依頼により用状を発行

3.輸出者は許認可を申請

法令によって承認が必要のある貨物があるため申請が必要

4.輸出者が輸出書類の作成

インボイスやパッキングリスト

5.輸送の手配

船会社のスケジュールに基づき、貨物の状態や輸入地に合った船を選定

※取引条件により

6.海上保険の申し込み

取引条件のCIF条件の場合、輸出者が保険の手配を行う

7.輸出者が通関書類の作成

仕入書、税関用packinglist、貨物の内容を説明できるカタログなどの資料

8.輸出者が税関に輸出の申告

9.貨物の搬入

海外にサンプルを送りたい場合

サンプルを海外に送る場合、小ロットを格安で、素早く輸送できる海外物流サービスの会社を使用するとスムーズです。また、宛名書きや輸入時に必要な書類作成の代行や荷物の追跡サービスを行っている業者もあります。候補を挙げたら、よりサービスが整っている業者を利用するのが望ましいです。例えば、株式会社ノーパット http://nopat.co.jpは、上記サービスが充実しています。サンプルなどの小口の場合は、大手物流会社よりもオススメできます。いかがでしたか? 海外取引は国内取引には無かったリスクの取り決めを行うなど、複雑な点は多くあるものの、それをクリアすれば大きな可能性を手にすることができます。実際に、何事も経験値がないと大きなハードルを感じてしまい、躊躇してしまうことが少なくありません。それにより、いまこのタイミングで海外進出ができなかったことが、大きな機会損失となるかもしれません。海外進出が成功するか否かは、経験値による取引条件の締結や、やりとりがスムーズにできるか?が大きく関わってきます。ご不安な点は、海外進出の経験値のある弊社がサポートさせていただきますので、まずはご相談ください。