<中国越境EC>目覚ましい成長を遂げている、中国のEC事情。現状、ECの小売り市場を代表するサイトのひとつが、アリババグループの「天猫(Tmall)27.1%」「koala:24%」で市場全体の50%を超え、中国最大のクロスボーダーeコマースプラットフォーム。また「京東(JD.com)」「小垢書(RED)7.3%」で、中国のECサイト市場の大半を占めています。今回は、押さえておくべき3大サイトの特長や出店条件などをまとめてご紹介いたします。
天猫商城( Tmall.com)
中国No.1のECプラットフォームといえば、「Tmall Global(天猫国際)」「Tmall(天猫)」。成長を続ける中国のオンライン市場で最大のECプラットフォームとして知られています。2017年の累計流通額は84兆円に達し、毎月6.99億人のユーザーが訪れるアリババグループのEコマースにおいて、中核的な役割を担っています。天猫は日本でいうところの「楽天」のような位置づけです。
【形態】:BtoC【会員数】:6,500万人【流通額】:約20兆円(2016年6月時点)
(1)初期投資の条件
販売商品にもよりますが、天猫に支払う出店費用だけで80万円から、技術サービス費 6 万元)かかります。必要に応じて現地法人の設立費用、輸出関連費用、倉庫物流費用、店舗運営費用、広告費用などが必要。売上があれば「売上金額×5%」の販売手数料も発生します。在庫を含めると1000 万円規模の投資になると考えておくべきです。
1.保証金:80万円〜
2.サービス費用:6万元
3.技術サポート費用: 5
4.年間費用:50万円〜
5.コミッション:4%〜
(2)販売商品に応じた条件と必要書類化粧品・香水・化粧道具類
- 資本金500万元以上 :約8,289万6,744円 であること。
- 営業開始から3年以上が経過していること。
- 一般納税人資格を有していること。
- 商標がRの場合、登録から3年以上経過、かつ過去2年以内に譲渡されていないこと。
(3)天猫国際(Tmall Global)の8つの出店条件
中国に低リスクで効率的に進出する上で、非常に魅力的な天猫国際ですが、厳しい出店条件が設けられています。こちらでは、天猫国際の出店条件を8つご紹介します。
- 外資企業であること:社名・商標登録を中国国内で行わなくても、出品は可能です。
- ブランド製品を販売できること:自社所有のブランド、あるい授権されたブランド、あるいブランド所有会社から、完全な入荷証明書類があることが条件になっています。
- 商標を取得していること:小売店なら第35類の商標を取得していなければなりません。それ以外は各ジャンルに適した商標を取得する必要があります。
- 規模が相当大きな大手企業であること:天猫国際は、出店企業のブランド力を重視します。そのため、ブランド力のある大手企業であることが条件となります。
- 業界Top3であること:ハードルが非常に高く感じられますが、業界の中で3番手以内に入る企業が出店対象となります。
- 日本で誰もが知っているブランドであること:日本国内において、強いブランド力があることです。
- 天猫で出店した後、売上に期待できること:天猫国際上で、売上が上がることが予測される商品が出店の対象となります。
- 越境EC専門チームを持つこと:天猫国際上に出品するだけでは、製品は認知されません。また、天猫国際では、常にユーザーからの問い合わせがあるため、カスタマーサポートも必須です。そのため、天猫国際の運用を行うチームを持つことが必要なのです。
(4)天猫国際(Tmall Global)への出店方法
出典までには以下の4つのステップを経ることになります。
1.事前審査:まずは、出店条件に当てはまるかどうかが審査されます。先にご紹介した、8つのポイントを満たしているかどうかが、審査のポイントになります。事前審査に通過した後、1度目の入金が必要になります。
2.本審査:事前審査に通過した後、本審査に移行します。このタイミングで、アリババに必要書類の提出を行う必要があります。本審査に通過した後、2度目の入金が必要になります。
3.店舗ページ作成:本審査に通過した後、天猫国際上に販売ページを作成します。商品の登録を行うために、商品画像やバナー、商品紹介の文言作成が必要になります。
4.天猫国際オープン:店舗開設後、出品が開始となります。
(5)その他補足情報
※送料負担が中国国内と比較すると高い
※事業運営費が発生する
※保証金を支払わなければならない
※売り上げに応じたコミッションを支払う必要がある。送料を除く商品代金に対してかかるもので、商品によって 0.5~5%。取引終了後に売上 金額から自動的に徴収される。化粧品は4%。
※旗艦店・専売店・商標が全てR(登録)の場合5万元、TM(受理)が含まれている場合10万元、 専営店・商標が全てRの場合10万元、TMが含まれている場合15万元となる。
京東商城(JD.com)
世界一の市場規模を誇る中国BtoC、EC市場において、前述したシェアNo.1の天猫とともに市場を牽引しているのがシェアNo.2の「京東商城(ジンドン)」(JD)です。京東商城は天猫とは異なるビジネスモデルを持ち、独自の発展を遂げています。もともとは家電製品のモールから始まり、現在は様々な商品を扱う総合ECサイトとなっています。京東は日本でいうところの「Amazon」のような位置づけです。
【形態】:BtoC【流通額】:約6.6兆円(2016年6月)
(1)初期条件
販売商品にもよりますが、京東に支払う出店費用は10,000ドル、およそ 111 万円かかります。また、サービス費用として月額83.3ドル(およそ1万円弱)がかかります。売上があれば「売上金額×5%」の販売手数料が発生します。
1.保証金:10,000(USドル)
2.サービス費用:83.3ドル/月
3.技術サポート費用: 5%
(2)出店申請の優先条件
出店要請においては、以下が優先条件となっています。
1.海外に有名なマーケットあるいはB2Cサイトであること。
2.中国国内にまだない有名ブランドの所有企業であること。
(3)申請書類
申請の際に必要な書類は以下になります。
・企業登録証
・取締役の身分証明書
・銀行情報の証明書
・ブランドの授権許諾書、又は正規のルートで仕入れたことの証明
・会社紹介
(4)その他の条件
1.JD Worldwideの本物保証プランに加入すること
2.中国語のページとカスタマーサービス対応
3.72時間以内に発送できることと追跡できる郵送方法を使うこと
4.中国国内に返品先があること
(5)京東商城(JD.com)の出店条件
京東商城に出店する場合、出店先は海外企業が出品できる京東全球購(JD Worldwide)になります。京東全球購に出店する上で、どのような条件をクリアする必要があるのか、以下に紹介します。
- 海外企業であること:京東全球購は海外企業の出品専用のモールのため、海外に法人があることが、必須の条件となります。
- 日本でブランド力のある企業:日本で既にブランドを確立している会社であることです。日本での売行きにより、京東全球購での販売予測ができるため、ブランド力がはんば重要なポイントととして見られています。
- ブランドを所有している企業:自社でブランドを保有している、あるいはブランド企業と正規の販売代理店契約を結んでいる企業であることです。
- 注文から72時間以内に発送できること:京東商城は、注文から発送までの時間を、非常に重視しています。そのため、注文から発送までに3日以内であることが、必須の条件となっています。
(6)京東全球購(JD Worldwide)の出店方法は?
出店には以下の流れを経ることになります。
- 事前審査:初めに、出店希望企業が条件に適するかどうかが審査されます。ここで審査が通過すると、1度目の入金が必要になります。
- 本審査:事前審査に通過した後、本審査に移行します。本審査のタイミングでは、京東全球購に対して必要書類を提出する必要があります。本審査に通過した場合、2度目の入金が必要になります。
- 店舗ページ作成:本審査に通貨した後に、京東全球購の店舗ページを作成します。商品の画像の登録や、キャンペーンページの作成が必要になります。
- 販売スタート:店舗ページが完成したら、いよいよ販売がスタートします。
中国の越境ECを考えたとき、自社で行おうとすると費用や時間もかかり、ノウハウも必要であるためハードルが高くなります。そのため、現状では大きなプラットフォーム内に出店先を持つことが近道だと考えられています。これから中国進出を目指す方は、費用面や出店条件なども比較しつつ、まずは大手2大サイトへの出店を検討されてみてはいかがでしょうか。
小紅書(RED)https://www.xiaohongshu.com/
モバイル特化型の越境ECアプリ「小紅書」は、2013年に発足。設立当初は、海外旅行等で購入した商品の写真をアップしたり、使用感や感想を伝えたりする、ユーザー同士の商品情報交換SNSアプリでしたが、次第に紹介されている商品を購入したいとの声が多く寄せられるようになったため、2014年にEC機能が追加され、半年で120億円以上を売り上げました。「小紅書」のユーザーは主に若い女性で、化粧品やファッションブランド品に人気があり、実際に使用したユーザーから多くの写真とレビューが寄せられ、同時にそれを参考に購入できるという点で人気を集めています。日本の化粧品や日用雑貨、食料品も人気があり、数多くのコメントや写真がアップされています。しかし、昨年よりREDアプリ内で口コミ規制が入り、出店企業が口コミできなくなるなど、状況が変わってきました。現状REDで販売する方法は2つあり、①中国に法人設立し、中国での販売許可を得てREDに出店すること。②REDに出店している企業に商品を卸して販売することです。
1)企業登録 https://gaia.xiaohongshu.com/regist
2)企業情報、財務情報、店舗情報を提出
3)提供した情報に基づき、REDが企業審査
4)オンラインで契約を確認可能。
審査が通った場合、REDが契約書原本を郵送してくるので、契約書に捺印をしてREDに返送する。
5)出店者のトレーニングを受け、完了した後にREDの販売者プラットフォームに登録を済ませれば出店可能。
中国の越境ECを考えたとき、自社で行おうとすると費用や時間もかかり、ノウハウも必要であるためハードルが高くなります。そのため、現状では大きなプラットフォーム内に出店先を持つことが近道だと考えられています。これから中国進出を目指す方は、費用面や出店条件なども比較しつつ、まずは大手3大サイトへの出店を検討されてみてはいかがでしょうか。
中国版メルカリ(中古品ECサイト)の展望
2大ECサイトの情報に加え、近年勢力を伸ばしている中古品ECサイトについても触れておきましょう。日本で中古品ECサイトといえば、メルカリ。国内ではCMで見かけることも多く、かなり浸透しているフリマアプリです。また、国内だけでなく、アメリカでの展開も始まりました。
【日本】初期費用:無料、月額利用料:無料、販売手数料:10%。
【アメリカ】販売手数料:10%
10ポンド(約4.5キログラム)までの商品については、全米一律20ドルで「Mercari Pack and Ship」をご利用いただけます。以降は重さにより、最大150ポンドまで160ドルで配送可能です。また、重さや配送料金にかかわらず、5営業日以内で送り先に配送する配送保証がつきます。
一方、中国では以下のような中古品ECサイトが人気を博しています。
1.アリババ系総合中古品ECサイト「閑魚(xianyu)」
中国のフリマアプリの代表格。ファッション、家電など様々な商品を扱っています。アリババの決算システムを使用しているため、取引は安全と認識されています。ユーザーは2億人超。
2.京東(ジンドン)傘下の中古品売買サイト「拍拍二手」
拍拍二手は閑魚と同様、総合中古品売買プラットフォームです。個人が携帯やパソコン、家電などの中古品を第三者店舗に販売し、店舗は回収した中古品を転売する仕組みです。拍拍二手は京東のアカウントで登録でき、京東で買った商品を「拍拍二手」で転売することも可能です。
3.総合中古品売買プラットフォーム「転転(ZhuanZhuan)」
転転は2015年11月にリリースされた、現地生活情報サイト「58同城」傘下の中古品取引アプリです。2017年にテンセントから2億米ドルの投資を得て勢いをつけています。アクティブユーザー数は1747.7 万人。閑魚と並び、9割以上の市場シェアを占めています。大手モールに比べ、個人が出店・出品できるフリマサイトは今後も注目を集めそうです。転売などもOKと謳われていることから、今後モールに出品した商品がこちらに流れているといった可能性も増えていくかもしれません。
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