新型コロナウイルスの収束が見えない中、音楽シーンを中心にオンラインによるイベント開催の動きが加速しています。中でも無観客の会場から有料でコンサートを配信するオンラインライブが活気を見せていますが、最近では、音楽に限らず、演劇、お笑い、展示会など、大小様々なイベントがオンラインで開催されています。今回は、最近開催されたオンラインのイベントについて紹介します。

BTS(防弾少年団) 「BANG BANG CON The Live」
韓国のヒップホップグループ、BTSが6月14日に開催した「BANG BANG CON The Live」は、世界107カ国で75万6000人が視聴し、5万人収容のスタジアム公演15回分に相当する規模となり大成功を収めました。チケットは有料ファンクラブ加入者の価格が約3,000円(未加入者約4000円)でしたので、チケット売上だけで約21億円の収益を上げたことになります。BTSはコロナ禍前に、世界23都市で計62回公演を行い、206万人の観客を動員しています。その際、チケット売り上げは約150億円でしたので、チケットだけで1回当たり2億5000万円の収益を上げています。一方で、今回のオンラインライブの場合、1回の売上だけで21億円と、オフラインの8倍以上の収益率となりました。また、所属事務所のビッグ・ヒット・エンターテイメントの発表によると、ARMYと呼ばれるファンクラブ会員数はこのコンサート後、1万人以上増加したとのことです。
サザンオールスターズ 特別ライブ 2020「Keep Smilin’ ~皆さん、ありがとうございます!!~」
サザンオールスターズは、6月25日に横浜アリーナで、バンド史上初となる無観客ライブを開催しました。ライブの様子は、 ABEMA(アベマ) など8つの動画配信サービスを通じて配信されました。約18万人が3,600円のチケットを購入し、ライブ当日は50万人が視聴したと推測されています。無観客ながら、ステージセットはこの日のために特設され、サポートも含めたバンドはフルメンバーで編成。スタッフも400人と、通常と同じ態勢で開催されました。カメラは40台が設置され、ステージの上空を動くカメラと連動し迫力の映像が配信され、画面越しの観客を魅了しました。ヒット曲「真夏の果実」では無人の客席の一つ一つに置かれたライトが無数の光を放ち、「東京VICTORY」では客席の中央に五輪の聖火台のセットが現れるなど、無観客ならではの意表をついた演出が話題を呼びました。
トラビス・スコット「Astronomical」
世界的に人気のアーティスト、トラビス・スコットは、4月24日から26日の3日間に渡り、インターネットで音楽ライブ「Astronomical」を行いました。このコンサートが他と大きく違ったのは、ライブの映像を生配信するストリーミングライブではなく、大人気アクションゲーム「フォートナイト」内でバーチャルライブを開催したという点です。フォートナイトは米Epic Gamesが2018年に配信を開始し、全世界で2億5000万人以上が登録している超人気ゲームです。(2019年3月時点)。ゲーム空間内で巨大な3Dアバターがパフォーマンスする姿をひと目見ようと、1200万人が参加しました。通常のライブ映像を見るだけのネット配信とは異なり、参加者はゲームの世界にログインし、好きなコスチュームを着てライブ会場を自由に移動することができます。また、普段から一緒にフォートナイトをプレイしている友人とチャット機能を使いながらライブを楽むことができるのも魅力の一つです。オンラインとゲームを掛け合わせた、新しいライブの形が実現しました。

音楽シーン以外でも…
オンライン寄席
日曜日の夕方に良質な笑いを届けようと、日本テレビ「笑点」大喜利メンバーの林家たい平と三遊亭好楽が7月に初のオンライン寄席を開催しました。チケットは1,650円、ライブ終了後3日に限り、アーカイブ視聴が可能でした。
また、落語家の二代目林家木久蔵は、YouTube上で落語を楽しむことを目的とした無料の寄席「電笑亭」を開催するため、8月末から落語業界初のクラウドファンディングを開始しています。プロジェクトの目標金額は100万円で、支援の返礼品には、提灯や後幕に名前を記載できる権利やオンライン打ち上げへの参加、スタジオ見学などが用意されています。
CAMPFIRE (https://camp-fire.jp/projects/view/315750)
東京ガールズコレクション
毎年、年2回開催されている大型ファッションイベント「東京ガールズコレクション」は、前回に引き続き、オンラインでの開催となりました。同イベントは、9月5日にさいたまスーパーアリーナから、ライブ配信サービス「LINE LIVE」で無料で配信、さらに中国圏に向けても生配信されています。。最新のXRテクノロジー(「XR」とは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など全て絵の仮想空間技術、空間拡張技術の総称)を駆使した点灯式を行うなど、”ニューノーマルなTGC”として業界に新しい可能性を導き出しました。ライブ配信の視聴者は延べ約248万人と、前回を上回る盛り上がりをみせています。
ジャパン・エキスポ(マレーシア)
アジアの親日国家の1つ、マレーシアでは、毎年日本に関する様々な大型イベントが開催されています。その中でも特に大規模で例年10万人以上を集めるジャパン・エキスポが、7月18日〜19日の2日間、アジアで初のバーチャルオールジャパンイベント「JAPAN EXPO MALAYSIA 2020 GOES VIRTUAL」として開催されました。 無料のマーケティングセミナーや日本アートのセッションなどの他、自宅にお酒が届きその酒蔵見学できるオンラインイベントや書道クラスなど、有料のセッションも開催されました。また、無料配信されたSKE48とJKE48のライブでは、両グループが映像で初めてコラボレーションし、国内外で話題となりました。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、開催が難しくなったオフラインのリアルイベントを補完する形で、様々な業態でオンラインイベントが提供されています。特にライブ事業では、政府が無観客ライブを推奨したり、一部地域では実施事業者への補助金が開始されたりするなど、オンラインライブの流れを更に加速させています。また、オンラインイベント全体としても、今まで地理的、時間的な問題で現地に足を運べなかった人々が気軽に参加できるようになり、新しいイベントの形としてオンラインは新しいポジションを築き始めています。最近は安定したビデオ配信システムが簡単に使えるようになり、主催者側もスマホ1つで簡単にオンラインの配信できるようになりました。コロナが収束した後も、新たなイベントのあり方として「オンライン」は定着するのではないでしょうか。

サービスに関するお問い合わせ
https://cross-b.jp/blog/contact
オンラインツアー・体験の情報発信サイト
https://magicc.jp
化粧品海外進出の情報発信
https://cross-b.jp/blog/